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編集ノート

白い表紙もひとつの決断だ

2026年9月27日Ren Arakawa

神田すじの裏手にある文具店のレジ脇に、あきらめきったマニラ封筒の色をしたスケッチブックが置いてある。値段は電車の二区間分、三百数十円といったところだ。

作っているのはMUCUという日本の紙製品メーカーで、ブランド名は「Blank Note」。今週、Core77がこれを取り上げたのは、まるで軍の払い下げ品のような見た目だからだという。無加工の厚紙の表紙、ラミネートなし、書店の棚に向かって名前を主張する箔押しもなく、選べる色すらない。あるのはバーコードと値段、その下の紙だけ。それが表紙のすべてで、MUCUの誰もそこに一言も足す必要を感じていないらしい。

銀座の事務所で五年、アイデンティティを描いていたころ、正反対の依頼をよく受けた。部屋の向こうからでも読めるロゴ、開く前から自分を主張する表紙、会議を三回重ねてでも守り抜く色。Blank Noteは何も主張しない。買った理由をこちらがすでに知っている前提で作られていて、それは聞こえるほど簡単な話ではない。表紙に何もしないことと、何もしないと決めることは、同じではないからだ。前者はクライアントとの一回の打ち合わせで済む。後者には度胸がいる。

今週のシグナルは「Japan-inspired」。だいたいの場合、それは海外の誰かが表面の美意識だけを見つけて、その下にある規律を見つけそこねたということだ。ベージュ、グリッド、スローガンの不在——それらは書体のように借りることはできても、マーケティング部に何年もノーと言い続けて身につく習慣のようには手に入らない。ロサンゼルスやコペンハーゲンのスタジオでも、無加工の表紙は午後があれば刷れるし、正しいグレーを選んで「抑制」と呼ぶこともできる。でも、表紙の仕事はページより先に消えることだと、プレスリリースも出さずに静かに決めた紙会社の数十年は、そう簡単には買えない。

私がこれまで気に入ってきたノートは、みな同じ道をたどった。最初の一週間で見られたがるのをやめ、三週目には角にコーヒーの染み、折れた表紙の端、誰が何を食べたかも忘れたレシートが挟まっている——それが本当のグラフィックデザインだ。署名もなく、事故のように一つずつやってくる。表紙が先に身を引くだけの分別を持っていたからこそ、そうなる。

今週のワイヤーから

  1. A Minimalist Low-Cost Japanese Sketchbook Core77

荒川蓮は足立区の荒川沿いで育ち、銀座のデザイン事務所で5年間ロゴを引いたのち、字を詰めるより字について書くほうが面白いと気づいた。駅の看板、米袋、レシート——東京を一枚の組版として読む。神田の印刷所の二階でHakkenを編集している。