編集ノート
すべての瞬間は、デザインされている
今朝、東京のカウンターに置かれた紙コップの色が目に留まりました。あまりに正確なグリーンで、通り全体の空気まで決めてしまうような色。デザインとは、そういうものです。どこにでもあり、静かで、気づいても気づかなくても、私たちに働きかけてくる。ひとつの色。一本の線。質感、パターン、そして音。それらが重なるとムードが生まれ、そのムードこそが、大きな世界を暮らしやすい場所に変えてくれます。
Hakken(発見)は、そのムードをていねいに集めるために生まれました。美しく洗練されたものと、壮大でスケールの大きなものを、同じページの上に。世界のデザインメディアを3時間ごとに読み、レーダーとして映し出します。いまスタジオが語っていること、上昇しているシグナル、今週の主役になった色。
この雑誌に望むことは、シンプルです。デザインの新しい潮流、新しいスタイルと考え方、新しい色、知っておきたいブランディングの出来事。それらがここに、速く、軽やかに届き、すぐに見つかって、読むことが楽しみになること。
あのカップは今、机の上にある。空のまま、ペンを三本とデザインナイフを一本挿して。緑は火曜から一度も傾いていない。明日の朝も同じカウンターが同じ緑を何千人かに手渡し、そのうちの誰ひとり、目を留めることはない。
荒川蓮は足立区の荒川沿いで育ち、銀座のデザイン事務所で5年間ロゴを引いたのち、字を詰めるより字について書くほうが面白いと気づいた。駅の看板、米袋、レシート——東京を一枚の組版として読む。神田の印刷所の二階でHakkenを編集している。